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【京都の弾き語りシンガー】小倉悠吾×Pon Wレコ発ツーマンライブレポート
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【京都の弾き語りシンガー】小倉悠吾×Pon Wレコ発ツーマンライブレポート

2022年2月5日(土)、「小倉悠吾×Pon Wレコ発ツーマンライブ」が、京都府立文化芸術会館にておこなわれました。

2組のアーティストによる、さまざまなチャレンジも盛り込んで行われたホールライブの模様をレポートします。

小倉悠吾とPon

小倉悠吾とPon

記事内写真 撮影:村山企画

今回のライブは、小倉悠吾さん、Ponさん、それぞれに活躍する2組のアーティストの「ツーマン」という形式で開催されました。

小倉悠吾さんは、バンド「THE OPENING CLOUD」のギター&ボーカルとして、京都の若手バンドコンテストの登竜門「Live Kids」2006年のグランプリを獲得。

バンドはメジャーデビューも果たし3枚のアルバムをリリース、さらなる活躍が期待されていましたが惜しまれつつも2013年に解散。

2014年からは弾き語りでの活動も本格的に開始、ソロ名義でのリスタートを切ります。

音源制作やライブ活動をコンスタントに継続する一方で、「KYOTO UTA FES」の主催や「京都周遊フェス」にも主要メンバーとしても関わるなど幅広く活躍。

コロナ禍でライブ活動が制限される状況でも、積極的にカバー動画をアップしたり、Live Spot RAGにて数回にわたり無観客配信ライブをおこなうなど、常に前向きな音楽活動を絶やすことのないアーティストです。

今回のレコ発では12曲のフルアルバム『トップ画面』のお披露目です。

小倉悠吾プロフィール

Ponさんは、ヤマガタサトシさんとのアコースティックユニット「ふらっと♭」の活動でも知られるアーティストです。

2009年の結成以来、ツアー車を3台目に乗り換えるほど精力的なライブ活動を筆頭に、音源やPV制作、YouTube運営など「ふらっと♭」としての多忙な活動と並行して、今回2枚目のソロ作品、6曲入りミニアルバム『Beautiful day』を完成させました。

「ふらっと♭」としての活動のイメージが強いかも知れませんが、ソロのシンガーソングライターでもあり、ウクレレ奏者でもあり、またグッズの製作やデザインも手がけるなど、多方面にその才を発揮するアーティストです。

「ふらっと♭」プロフィール

2人はともに京都出身のシンガーソングライターということもあり互いに刺激し合う部分もあるでしょうし、また「京都周遊フェス」等での共演で親交も深まっていったでしょう。

今回、お互いのリリースのタイミングが合った、もしくは合わせて制作をスケジューリングした、結果として「Wレコ発」というキャッチー極まりない共演が実現しました。

同じシンガーソングライターでも、活動のフィールドやファン層は決して同じではないので、互いのファンに自分たちの音楽を知ってもらえ、またお客様も新しい音楽に出会える、双方よしのライブ形態と言えるのではないでしょうか。

ライブハウスで言うところのいわゆる「対バン」スタイルですが、ホールクラスのキャパであえてワンマンではなくツーマン、それも「Wレコ発」という点もこのライブのユニークな点だと感じました。

またユニークな点と言えば、このライブでは入場料5,000円という設定はありますが、2組のニューアルバムがもらえます。CDの料金は合計5,000円なので、実質ライブは無料、ということになります。

通常であれば入場料を設定して、物販でCDを別途買ってもらうところですが、このあたりの設定も、チームでアイデアを出し合って準備してきたんだろうなと感じました。

会場では、検温や消毒液の設置、1席ごとに席を空けるソーシャルディスタンス、換気時間を設ける等、コロナ対策も十分に取られていました。

それでは、ライブ本編の模様をお伝えします。

Ponライブレポート

Pon

最初は、Ponさんのセットから。

この日はバンドスタイルです。

メンバーは、ギター:渡辺智哉さん、ドラムス:長尾琢登さん、ベース:渡辺健二さん、キーボード:藤井嵩洋さん、サックス:グラント・ビリージーンさん。

渡辺智哉さん、藤井さんはPonさん人脈、長尾さん、渡辺健二さん、ビリーさんは悠吾さん人脈のミュージシャンであり、ほぼみなさんが『Beautiful day』のレコーディングにも参加しています。

Ponさん、小倉悠吾さんそれぞれが信頼を寄せるミュージシャン・ハイブリッドの豪華バンドです。

1曲目はアルバムのタイトルトラック『Beautiful day』。

この曲では、サックスのグラント・ビリージーンさんも参加。全曲参加ではなく要所要所での登場でしたが、ソロやオブリガードにて「攻め」のブロウを響かせ、また今回のライブ紅一点ということもあり、そのステージ映えは俳優のウィノナ・ライダーさんのような存在感を放っていました。

続いて演奏されたのは『始まりの合図』。

Ponさん1stソロ収録曲、エレキギターによるイントロフレーズがキャッチーで印象的です。

「原曲のアレンジ通り」なのかは失礼ながら分かりませんが、リズムアレンジにも趣向が凝らされていて、バンド感が楽しめます。

ギターの渡辺さんは、モデリングアンプヘッドを定番ギターアンプJC-120に繋いで演奏されていたのでしょうか?

サウンドとともにそのステージ上での光り具合も、目を奪われる1アイテムでした。

3曲目は新作からの『One Week』。

1週間という単位の通常の日常を「それぞれの日に起伏はありながらも大切なものを見逃さないよう、記憶できるよう、心のレンズは磨いていよう、そしてそこに映る美しい日を積み重ねていく」。

そんな思いを感じる曲でした。

ここでキーボードの調べに乗せ、この日の初MC。

淡々とした語り口ですが、Ponさんおよび関わるスタッフの皆さんの想いが伝わる、すてきなMCだったと感じます。

4曲目はこれも新作から『アダムとイブ』。

神話の『アダムとイブ』は、原罪を扱った少し怖い話でもありますが、「お互いにない部分を補い合って生きてゆく男女」のことを歌った曲であり、楽曲もどこかかわいらしさを感じられます。

2サビの照明がとてもきれいだったのも印象的でした。

5曲目『クリスマスくらいは』は1stソロより。

シャッフルのミディアムナンバーで、サビへの入り方がドラマティックでかっこいいです。

Ponさんファンはクリスマスシーズンにはこの曲を聴いたり、心の中に思い浮かべたりしながら過ごしているんでしょうね。

6曲目はこちらも1stソロより『シンプル』。

Ponさんはアコースティックギター弾き語りのスタイルなので、曲の出だしはアルペジオ等のギター伴奏から歌が入りリズムもオンにというタイプの曲が多いと思うのですが、この曲のイントロもシンプルながらとてもキャッチー。

ところがサビのメロディは決してシンプルではない複雑なライン。

しかもどこか、日本人にはどこか懐かしさを感じさせるような、「これ好きなやつ」な感じを受けました。

テンポ感や曲のカラーもあるのでしょうが、会場では自然に手拍子も起こっていた曲です。

続いて7曲目はセカンドラインのリズムが楽しい『MV』。

と思いきや、途中でリズムチェンジしてベーススラップもバキバキのアゲアゲチューンに。

こういう曲は、やはりバンド編成ならではの盛り上がりで聴かせられるナンバーですね。

ここで再びサックスのビリージーンさんがステージに登場。

演奏されたのは8曲目『アンクレット』。この曲ではローズの音色のキーボードが曲の世界観をとても彩っています。

ミディアムテンポのバラードで、歌に対して合いの手のように入れるサックスのオブリガードやソロもまた、この曲のパッションを高めてくれます。

この日のメンバーならではの『アンクレット』だったのではないでしょうか。

MCを挟み、いよいよライブも終盤戦、9曲目は『Good night』。

Pon

とてもとても「やさしい」曲です。

ストレートに沁み入ってくるような味わい深さ、浸っていたい心地よさを感じました。

10曲目は新作よりの『雨のち虹』。

テンポ感がとても気持ちが良い、ポップなナンバーです。

『Beautiful day』のジャケットイラストはこの曲をモチーフに描かれています。

CDの最後の曲として収録されており、未来に向かって虹がかかっていくような気持ちにもなり、CDもライブもすごくいい曲順だなと思いました。

そして、「30歳で仕事をやめて音楽生活を始めた」という衝撃のMCを挟み、最後に演奏されたのは1stソロより『笑い花』。

レゲエ調のリズムにラップのような歌のAメロがとても意外でしたが、ここに来てPonさんの歌のギアがさらにもう1段上がったように感じました。

最後に持ってきたことからも、Ponさんにとってとくに思い入れの深い1曲なのではと思います。

演奏に乗せてメンバー紹介をし、あたたかい拍手に送られながらPonさんのステージは終了しました。

私はこれまで「ふらっと♭」のPonさんとしてしか存じ上げてなかったのですが、クリエイティブな楽曲やその歌声・歌唱力は、ソロ・アーティストとしても大きな魅力を放っています。

今回が2枚目の作品ということで、未収録の曲も含めソロとしても「ふらっと♭」と並行して活動に力を入れていかれるのではないかと思います。

今後の活躍にもぜひご注目ください!

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