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ベース弦はなぜ高い?メーカーさんに直接聞いてみた
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ベース弦はなぜ高い?メーカーさんに直接聞いてみた

ベース弦はどうして高いのか?

楽器店へベース弦を買いにいくたびに、疑問に思う方もおられるのではないでしょうか?

ベース弦は 値段が高い!

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ベーシストの皆さんはもうご存知だと思いますが、ギター弦に比べベース弦は圧倒的に高価です。

例:D’Addario(ダダリオ)の場合(同クラスで比較)

ギター弦 → ダダリオEPS510 1,800円+税(定価)

ダダリオギター弦

http://www.kcmusic.jp/daddario/eguitar.html#e

ベース弦 → ダダリオEFX170 7,500円+税(定価)

ダダリオベース弦

http://www.kcmusic.jp/daddario/bass.html

ほかのメーカーで比較してもだいたい、ギター弦にくらべ3〜4倍もベース弦のほうが高いです。

ギター弦は6本で、ベース弦は4本なのに…

どうしてこんなに値段の差が出るのでしょうか?

なぜ高いのか調べてみました

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有名弦メーカー各社に「なぜベース弦が高いのか?」直接聞いてみたところ、3つの理由が浮かび上がりました。

各社ほぼ同じ回答だったのですが、それぞれピックアップして説明していきたいと思います。

ベース弦の構造

D’Addario(ダダリオ)の日本代理店キョーリツコーポレーションさんに問い合わせしてみました。

「ベース弦は4本とも『芯線に巻き線』の構造のため製造の手間がかかります。その分、どうしても製造コストが上がります」

との回答でした。

通常のエレキギター弦は6弦〜4弦が巻弦なのに対し、ベース弦は4弦〜1弦の4本すべてが巻弦で、またギターよりスケールが長いので弦も長いのです。

ベースは楽器の役割上、低音や倍音を豊かに鳴らす必要があるので、巻弦が使われています。

倍音とは、楽音の音高とされる周波数に対し、2以上の整数倍の周波数を持つ音の成分。1倍の音、すなわち楽音の音高とされる成分を基音と呼ぶ。

https://ja.wikipedia.org/wiki/倍音

なぜ巻弦を使っているのかというと、低音側では巻き弦のより豊かな音色が好まれるためです。

逆にエレキギターの高音側(1弦〜3弦)は、弦が細くプレーン弦でも巻き弦でもそれほど音色に違いが出にくいためプレーンが使われます。

この巻弦はメーカー各社で独自のノウハウがつまっており、巻弦の構造上、弦のキャラクターを決定付ける重要な要素のひとつとなっています。

需要と生産量

anti-rust

http://web.gore.co.jp/product/product.html

Elixir(エリクサー)直系の日本ゴア株式会社に問い合わせしてみました。

以下のような回答が得られました。

「ギター弦のほうが、圧倒的に需要があるので大量生産できる分、単価そのものが安くできます。そして基本的に海外からの輸入になるので移動コストもギター弦のほうが安くて済みます。」

なるほど!

ギター弦のほうが安い理由がこれではっきりしたような気がします。

ギターは楽器人口が多く、またベース弦に比べるとどうしても細く切れやすい傾向があります、

錆びなどの劣化が音色にも顕著に現れるので、消耗スピードが早いのです。

やはり、交換サイクルが多いのでそれだけ需要が多く値段が安くなるのです。

参考:【ためになる】数字でわかる音楽業界

重さ=金属コスト

エレキギターの定番弦メーカーERNIEBALL(アーニーボール)の日本代理店、神田商会に問い合わせしてみたところ「重さ、つまり金属の質量が多いと、その分コストが上がります」との回答を頂きました。

例えば、ベースに細くて軽い弦を使用した場合、低い音程を出そうとするとテンションをゆるめる必要があります。

これではハリのある豊かな低音を鳴らせませんし、チューニング安定しません。

弦の重さを重くする(太くする)ことで必要なテンションを確保し、どっしりとした低音を得られるのです。

弦の材質は主に鉄で、ほかにはニッケル、ステンレスなどさまざまですが、基本的にはギター弦と変わりません。

ですので太く長くするとそれだけ、原材料コストも上がってしまいます。

どうすれば安くなるのか?は永遠の課題

今回は製造現場での情報は得られませんでしたが、弦の製造はほとんどがアメリカのようで、資源の少ない日本では製造されていません。

「ベーシストが増えれば安くなる?」とも思いましたが、やはり低音弦の性質上、張り替えサイクルはギターより少ないとは思いますので、長期的にみれば一概にランニングコストが高いとも言い切れません。

最後に

ちなみにわたくしは、張り替えたてのベース音より、少し枯れた感じの音色のほうが好みです(低音にクセがなく自然に聞こえるので)。

とはいえベース弦はなかなか切れませんので、良い音を持続させるためにもしっかりとしたメンテナンスを怠らないことこそが、楽器にもおサイフにも最も優しい解決策でしょう。

ライタープロフィール

中尾きんや

スタジオラグ

中尾きんや

スタジオラグスタッフ

ウェブサイト:https://www.studiorag.com

Twitter:kin_kinya

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